制作陣インタビュー

INTERVIEW
イラストレーター東みずたまりさんに聞く!
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記念すべき1回目は、イラストレーターの東みずたまりさんに、奥深いコンセプトアート・カラースクリプト制作の世界について、お聞きしました!

WEBアニメ「薄明の翼」では、コンセプトアートとカラースクリプトをご担当されていると伺いました。そもそもコンセプトアートとカラースクリプトとは、どういったものでしょうか? それぞれの違いについても教えてください。

コンセプトアートは、例えば、脚本などの文章を読んで想像するイメージは、人によって違うと思いますが、そのイメージを具体的に描いた絵のことです。その絵があると、イメージが統一できるので、制作チームとしてどこを目指すのかはっきりさせることができます。なので、コンセプトアートが優れているほど、最終的なフィルムの出来上がりは良いものになります。

コンセプトアート

コンセプトアート

カラースクリプトは、「絵の設計図」です。物語の演出をする為に描かれた、連続した絵のことをカラースクリプトと呼びます。特に色と光でシーン設計することが多いので、日本語にすると「色彩演出」と呼べると思います。コンセプトアートもカラースクリプトも、絵を描く力と、物語の演出を理解する力が必要で、考えることが多くて大変ですが、とてもやりがいのあるお仕事です!

カラースクリプト

カラースクリプト

東さんのイラストは、どこか懐かしいような、温かみのあるタッチが印象的です。普段イラストを制作するにあたり、どのようなことを大切にされていますか?

ありがとうございます! 描くモチーフによっていろいろ変わりますが、基本的にはいつも「空気感を表現したい」と思っています。自分が育った風景から感じた匂いや風を、絵にしたいという思いが根っこにあるのですが、まだまだ全然表現できていなくて、しかもお仕事をしていると依頼に応えることに意識を持っていかれて、そういう根っこのことを忘れがちになるんですよね…。でも懐かしい、温かみがあると感じていただけているとしたら、少しは表現できているのかもしれません。ありがとうございます。とっても嬉しいです。

ポケモンのことはご存じでしたか? もし思い出や印象に残っているエピソードがあれば、教えてください。

もちろん存じております。フランス人の友達が「この歌知ってる?」と、あるメロディーを口ずさんでくれたのですが、それが何の歌かさっぱりわからなかったんです。そうしたら「ポケモンのアニメのオープニングじゃん!」って。そのメロディーが「めざせポケモンマスター」とは違ったんですよ。その時に国ごとに主題歌が違うってことを知って衝撃だったんです! でもポケモン愛はどの国も同じで、フランス人の彼らもポケモンを見て育ったと言っていて、なぜか誇らしい気持ちになったのを覚えています。

今作は、Nintendo Switchソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』が原作となっています。元々ある世界観をご自身のタッチで描かれることも多かったと思いますが、こだわった点、注意した点があれば、教えてください。

ガラル地方で起こっている出来事ですが、現実世界と太陽や空などは同じだと想定して、ガラル地方をどういう光や色で彩ると魅力的に見えるかをずっと考えながら描いていました。

原作では描かれていない部分をコンセプトアートに描き起こす、ということもあったと思いますが、どのようなことを考えながら、描かれましたか?

とても素敵なストーリーが先にあったので、それを表現するのに最適な描写、デザインは何だろうということを考えながら描きました。自分自身が納得できるストーリーと演出が既にあったので、私は気楽な立場だったように思います。ポケモンというタイトルで、このチームでお仕事をさせていただいたことがとても幸運でした。

「薄明の翼」のコンセプトアートでは、ガラル地方の街並みと、ジョンとトミーが会話をしているような姿が描かれていますが、コンセプトやテーマなどがあれば、教えてください。

コンセプトアートを描く時に大事にしているのが、「この絵が物語の本質を捉えられているか」ということです。ジョンとトミーは「薄明の翼」のオリジナルキャラなので、特に重要な存在だと思いました。病院にいる子どもである彼らがどこまで行けて、どこまで飛べるだろう、という物語を表現できたら…と思いながら描きました。

カラースクリプトは、「薄明の翼」のエンディングにも登場します。お気に入りのイラストがあれば、理由とともに教えてください。

エンディングにまで使っていただいてとても嬉しかったです! お気に入りは、4話のルリナとミロカロスがジャンプしているところでしょうか。理由は、ルリナをちゃんと祝福してあげられた気がしたので。キャラクターを祝福してあげたり、背中を押してあげられたりする絵を描きたいといつも思っています。

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視聴者も気づいていないようなエンディングの隠れ注目ポイントや、制作秘話があれば、教えてください。

4話の控え室に座っているルリナの絵は、「重い雰囲気でルリナの落ち込んだ気持ちを表現したい」と思ったので、とあるアニメーション映画を参考にしています。重い内容ですが日本の歴史に残る名作です。

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今後の見どころについて、教えてください。

みんなにとってのお気に入りのキャラクターももちろんですが、この「薄明の翼」オリジナルキャラクターのジョンとトミーがどこにたどり着くのか、みんなで見届けられると嬉しいです。

最後に「薄明の翼」のファン、ポケモンファンに向けて、メッセージをお願いいたします。

このような幸運な作品に携わらせていただいてありがとうございました。いろんな名作がそうであるように、この「薄明の翼」シリーズも、山下監督が何層かのストーリーの意味を持たせています。1度目に見た時はアニメーションの快感を、2度目、3度目と見ていくうちに、ストーリーの深層に入り込めると思いますので、ぜひ何度か見て皆さんなりに「薄明の翼」を感じていただけますと幸いです。ありがとうございました!

東みずたまりさん

東みずたまりさんプロフィール

イラストレーター・コンセプトアーティスト・漫画家。
企業CMやミュージックビデオのコンセプトアートやカラースクリプトを多数手がける。

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